ドイツ連邦議会(下院)は21日、エネルギー価格の高騰を受けた総額2,000億ユーロに上る対策のための新規借り入れを承認した。政府は財源を新規借り入れで賄う方針で、憲法で定められた新たな借り入れを制限する「債務ブレーキ」規定に抵触することが問題となっていたが、下院は今回、この規定の一時的な停止を認める案を可決した。
政府は光熱費高騰の影響を緩和するために、家庭や企業が支払うガス・電力料金に上限を設け、市場価格との差額を負担する計画。価格上限は企業に対しては来年1月、一般家庭には3月から適用を開始し、2024年まで継続する。また一時金の給付も予定している。一連の施策の資金は新規借り入れで調達し、コロナ禍で打撃を受けた企業支援を目的に設立した「経済安定ファンド(WSF)」を通じて拠出する予定だ。
債務ブレーキ規定では、構造的財政赤字の上限を対国内総生産(GDP)比で0.35%に定めている。ただこの規定は非常時には一時的に停止することが可能で、09年の欧州債務危機の際に初めてこの非常措置が適用された。また、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて20年にも再び一時停止された後、ロシアのウクライナ侵攻などを受けてそのまま継続されていたが、今回の決定でさらなる延長が決まった形だ。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。