英国のトラス首相は20日、辞任を表明した。9月6日の発足から2カ月弱と過去最短の短期政権となったが、金融市場の混乱を招いた大型減税の撤回やその後の対応のまずさなどが重なり求心力が急速に低下。支持率も一桁台となるなか、早期の幕引きを図ったとみられる。
与党・保守党は28日までに後任を決める党首選を実施する予定で、スナク元財務相やウォレス国防相、ハント財務相らの名前が挙がっているほか、ジョンソン前首相も意欲を示しているとみられ、候補者選びは不透明な状況だ。
トラス氏は20日のスピーチで、「不安定な経済や国際問題を巡る状況を打開するために党首に選出されたが、現状を鑑みこの使命を果たすことができないと理解した」と辞任理由を説明。トラス氏は後任が決まるまで職務を継続する。
トラス政権を巡っては、クワーテング前財務相が9月に発表した大型減税案が金融市場の混乱を招き、債券安、通貨安、株安の「トリプル安」を引き起こした。その後、クワーテング氏を解任した上で減税案の大部分を撤回するなど軌道修正を図ったが、保守党内からも公然と辞任を求める声が挙がっていた。さらに、19日にはブレーバーマン内相が辞任するなど混迷が深まっていた。
トラス氏は英国史上3人目の女性首相で、不祥事で辞任したジョンソン前首相の後任として先月6日に首相に就任したばかりだった。
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