英国のトラス首相は14日、クワーテング財務相を解任した。後任には、ハント元外相が指名された。クワーテング氏は先に、多額の借り入れを原資とする大型減税案を発表。金融市場の混乱を招き、一部を撤回するに至った。トラス氏は今回新たに、減税案のうち法人税の増税中止を撤回すると発表。これにより、年間180億ポンドの税収増が見込まれるとしている。
トラス内閣は9月に発足したばかりで、クワーテング氏の財務相としての在任期間は、過去2番目に短い38日となった。トラス氏は記者会見で自身の進退について問われると、「約束したことをやり遂げると決意している」と辞任を否定した。
クワーテング氏は9月23日、過去50年で最大となる総額450億ポンド規模の減税案を発表。中でも所得税の最高税率を引き下げる案には与野党から反対の声が強まり、先にはこれを撤回した。
トラス氏は今回、減税案は多くの人の予想より進んだものだったと指摘し、取りやめるはずだった法人税率の引き上げを当初の予定通り実行すると発表した。ただ、一連の動きに与党・保守党内からも反発が強まり、同氏の解任を目指す勢力もあると報じられている。
一方、財務相の後任となるハント氏は、減税案のさらなる撤回を示唆している。同氏は10月31日に、中期財政計画を公表する見通し。
ハント氏は、メイ元首相政権下で外相を務め、メイ氏の後任を決める保守党党首選挙で最終候補に残ったものの、ジョンソン前首相に敗れた。今年に行われた党首選にも出馬したが、第1回投票で敗退し、その後はスナク元財務相の支持に回っていた。
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