ロシアとドイツをバルト海経由で結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」で、26日以降に相次いでガス漏れが確認された。これを受け、デンマークとスウェーデンの海運当局は、それぞれ航行禁止海域を設定している。ガス漏れの原因は明らかにされておらず、復旧のめども立っていない。
デンマーク政府は26日、ノルドストリーム2の運営会社から圧力低下の通知を受け、調査を実施した結果、同国領バルト海でガス漏れが生じていると可能性があると発表。同パイプラインから9キロメートル以内を運航禁止海域に指定し、局地的な飛行禁止区域も設定した。
スウェーデン政府は翌27日、同国とデンマークの経済水域でノルドストリーム1とノルドストリーム2の両方にガス漏れが生じていると発表。両パイプラインから9キロメートル以内を航行禁止とし、高度1,000メートル以下での上空の飛行も禁止した。
ロイター通信によると、両パイプラインの運営会社は、ノルドストリーム1の2カ所とノルドストリーム2の1カ所が同時に損傷を受けたと説明。「同じ日に3カ所が損傷を受けるのは異例で、復旧のめどは立っていない」としている。
ノルドストリーム1の輸送容量は1日当たり1億7,000万立方メートルだが、現在は稼働が停止されている。ロシアは故障が原因としているが、同国のウクライナ侵攻を受けた経済制裁への対抗措置とみられている。また、ノルドストリーム2は2021年9月に敷設が完了したものの、ウクライナ危機を背景にドイツが承認手続きを停止したため、運用されていない。
なお、欧州では27日、ノルウェー領北海産ガスをデンマーク経由でポーランドに供給する「バルチック・パイプ」の開業記念式典が開かれた。これに出席したポーランドのモラウィエツキ首相は、ガス漏れは「明らかに何者かによる破壊が原因」との見方を示している。
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