英政府は26日、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標の見直しに着手したと発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー危機を背景に、エネルギー安全保障の確保と企業や家計への打撃緩和が必要となっているため。
英国は19年にメイ政権下で、世界の主要先進国に先駆けてこの目標を法制化していた。政府は今回の見直しで、経済成長と企業を支援し、経済効率の高い目標達成方法を模索するとしている。加えて、新たな気候政策・技術の費用対効果を検証するほか、ネットゼロ目標への取り組みを技術革新や投資、輸出、雇用の拡大につなげる方法を探る方針。
見直し作業は、スキッドモア元エネルギー担当相が率いる独立チームが行い、年末までに政府に報告書を提出する。
リースモグ民間企業・エネルギー・産業戦略相は、「政府は排出量実質ゼロ化目標の達成に引き続き取り組んでいるが、ロシアが欧州でエネルギーを武器として利用する中、エネルギー安全保障を向上させ、企業や消費者に不当な負担を強いない形でこれを実現する必要がある」としている。
ロイター通信によると、同相は過去に気候変動対策の必要性を疑問視する発言をしたことで知られる。
政府は先に、イングランドでフラッキング(水圧破砕法)によるシェール(頁岩)ガスの採掘を解禁する方針を打ち出したほか、油ガス田開発の新規免許交付も検討しているとされる。[環境ニュース]
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