ドイツ政府は21日、経営難に陥っているエネルギー大手ユニパー(Uniper)を国有化することで、同社および支配株主であるフィンランドの電力大手フォータムと合意したと発表した。総額80億ユーロを拠出し、株式約99%を取得する。
政府は、1株当たり1.7ユーロでユニパーの増資を引き受ける。取引は、規制上の各種要件が満たされ、ユニパーの株主総会および欧州委員会による承認を得た上で、年内に完了する見通し。
エネルギー危機を背景にフォータムがユニパーに提供していた株主融資約40億ユーロはドイツ政府が返済し、フォータムによる融資保証35億ユーロも政府が肩代わりする。
ロイター通信によると、ドイツ政府が今回の取引を含めてユニパー救済に投じた額は、計290億ユーロとなる。
ユニパーはドイツ最大のロシア産ガス輸入業者で、同国からのガス供給減により経営が悪化。7月には政府とユニパー、フォータムが救済パッケージでいったん合意し、ドイツ復興金融公庫(KfW)による融資枠を従来の20億ユーロから90億ユーロに拡大することや、政府がユニパーの株式30%相当を取得することが決まっていた。
しかし、その後にロシアとドイツをバルト海経由で結ぶガスパイプライン「ノルドストリーム1」経由の天然ガス供給が停止されたことや、ガスや電力の調達価格が高水準で推移していることから、事業環境が一段と悪化。代替策として国有化に向けた協議を開始していた。
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