英国のジョンソン首相の後任を決める与党・保守党党首選の最終候補2人が4日、スカイニュース主催によるテレビ討論を行った。英中銀イングランド銀行がこの日、年内のリセッション(景気後退)入りを予測したことについて、トラス外相は景気後退の回避は可能とし、大型減税を実施する方針をあらためて強調。これに対しスナク前財務相は、財源のない減税はインフレの火に油を注ぐと反論した。
中銀はこの日、政策金利を過去14年弱で最高の1.75%に引き上げるとともに、インフレ率が年内に13%超に達するとの見通しを発表。国内経済は第4四半期(10~12月)にリセッション入りするとの見方を示した。
トラス氏はこうした予想について「懸念すべきことだが、避けられないわけではない」とコメント。かねて公約として打ち出している大型減税を直ちに実施し、家計を支援することにより、経済を立て直して成長を促す方針を示した。同氏は、スナク氏が主張する現状の課税水準は、リセッションを招くと主張。借り入れ拡大により次世代の負担が増えると懸念する観客には、「財政均衡を急ぎ過ぎるのは反生産的」と答えた。
一方、スナク氏は、国内経済の行く手には赤信号がともっており、その元凶は課税ではなくインフレと指摘。トラス氏の減税策はインフレの火に油を注ぎ、金利のさらなる上昇を招くとし、物価の抑制をまず優先した上で減税に着手する方針をあらためて示した。
この日の討論は、各候補がそれぞれ観客からの質問に答えた後、司会者のインタビューを受ける形で行われた。各種世論調査によると、決選投票で投票権を握る一般の保守党員の間ではかねて、トラス氏への支持率がスナク氏を上回っているが、この日の観客の保守党員は、討論会直後にどちらの候補者を支持するかを挙手で問われたところ、大半がスナク氏に手を挙げた。
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