ドイツ政府は27日、2026年までに気候変動基金から総額1,775億ユーロを支出することを閣議決定した。うち来年分は354億ユーロとする。ロシア産エネルギー依存から脱却し、グリーン経済への移行を加速させる方針だ。
リントナー財務相は「ロシアのウクライナ侵攻により、再生可能エネルギーの拡大や産業からの排出量の削減、水素分野の開発、電気自動車(EV)普及の推進などが緊急事項となった」と説明。気候変動基金からの支出では、建物のエネルギー効率を高める改修への支援に特に力を入れる。一方、電動モビリティー分野では充電インフラの整備を進めるほか、EVの購入補助金は段階的に削減する計画を示した。リントナー氏は「EVが市場競争により手頃な価格になると期待している」と述べた。
来年の支出の内訳は、約半分に当たる169億ユーロを建物のエネルギー効率を高める補助金に充てる。ただ、対象となるのは既存の建物だけで、新築物件には適用しない。このほかでは、◇電動モビリティーに56億ユーロ◇水素産業の拡大に40億ユーロ◇エネルギー集約型企業に対する支援に26億ユーロ――など。EVの購入補助金には23年に21億ユーロ、24年には13億ユーロを投じるが、対象は小型で安価なモデルとなる。
一方、向こう4年間全体では建物のエネルギー効率化に562億ユーロを投じるほか、水素産業の拡大と有害な排出の削減に約200億ユーロ、エネルギー効率の促進に約34億ユーロ、暖房システムの効率化に約38億ユーロをそれぞれ振り向ける。なお、再生可能エネルギー拡大のための課税は廃止するため、エネルギー価格の高騰による企業や一般家庭の負担は約480億ユーロ軽減されるという。[環境ニュース]
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