欧州委員会は20日、欧州連合(EU)加盟各国に来年3月までの天然ガス消費量を15%削減するよう求める新法案を提示した。暖房需要の高まる冬場にロシアからのガス供給が絶たれた場合に備える措置。目標に法的拘束力はないが、供給不足が深刻化すれば達成を法的に義務付けるとしている。
新法案では、8月1日から来年3月末までのガス需要を過去5年の平均値から15%減らす目標を設定。深刻なガス不足や需要急増のリスクが高まれば、欧州委が警告を発動し、加盟各国に対しこの目標の達成を法的に義務付ける。加盟各国は、9月末までに目標達成方法の計画を示す必要がある。
欧州委は併せて、EUレベルでのガス消費量削減計画を発表。代替燃料の確保では、再生可能エネルギー由来などのクリーン燃料を最優先する一方、一時的措置として化石燃料や原子力の利用も認めている。
ガス供給面では、一般世帯のほか病院や経済的重要性の高い分野の企業を優先するべきとし、その選定基準を示している。また加盟各国に対し、国民向けの啓発キャンペーンを展開し、冷暖房の温度設定基準などを周知するよう求めている。
欧州委によると、6月のロシアからのガス供給量は例年を30%下回っており、加盟12カ国がすでに供給を全面的または部分的に絶たれている。ロイター通信によると、欧州委は加盟各国に何の備えもないままロシアからのガス供給が完全に途絶した場合、EUの域内総生産(GDP)は最大1.5ポイント押し下げられるとみている。[EU規制]
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