ドイツのエネルギー大手ユニパー(Uniper)は29日、政府から救済を受けるための交渉を進めていると明らかにした。ロシアからのガス供給が大幅に低下し、代替調達に一段の追加コストがかかる場合に備えた措置で、融資保証を受けることやドイツ復興金融公庫(KfW)による融資枠の拡大に加え、政府から直接出資を受ける可能性も検討中としている。
それによると、ロシアの天然ガス世界最大手ガスプロムからの供給は、6月16日以降に受け取るはずだった量の40%にとどまっている。不足分は他から調達しているが、追加コストをガス料金に上乗せできない中で財務状態が悪化しているという。
ブルームバーグによると、ハーベック副首相兼経済・気候保護相も同社の救済に向けた協議を行っていることを認めた。
ユニパーは併せて、2022年通期の業績見通しを撤回。上半期(1~6月)の業績は前年同期を大幅に下回ると警告している。この発表を受け、同社の株価は一時23%下落した。
同社は5月、第1四半期(1~3月)の決算は純損失が31億100万ユーロとなり、前期の8億2,000万ユーロの黒字から赤字に転落したと発表。ただ、通期ではEBIT(利払い・税引き前利益、特別損益除く)が10億~13億ユーロ、特別損益を除く純利益が8億~11億ユーロになるとの見通しを維持していた。
なお、ユニパーにはフィンランドの電力大手フォータム(Fortum)が76%出資する。フォータムはフィンランドの国有企業のため、ユニパーの経営悪化はフィンランド政府に影響を及ぼす可能性がある。
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