ロシアの天然ガス世界最大手ガスプロムは1日、デンマークへのガスの供給を停止した。デンマークのエネルギー大手オーステッド(Orsted)が、4月に供給したガスに対してロシア側が求めるルーブル建てでの代金支払いに応じなかったため。また同様の理由で、英石油大手シェルの子会社シェル・エナジー・ヨーロッパがドイツ向けに購入しているガスも供給が止められている。ドイツ向けのガス供給が停止されるのは初めて。
ガスプロムは声明で、「オーステッドは契約で定められた期限である5月31日の営業時間終了時点でガスの代金を支払わなかった」と説明。オーステッドにルーブル建てで代金を受け取るまではガスを供給しないと通知したと述べている。シェル・エナジーについても、4月分の代金を5月31日までに受け取っていないとした。
オーステッドは先に、ユーロ建てでの支払いを続けるために供給停止の恐れがあると警告するとともに、デンマークへのガスの供給が直ちに危機にさらされることはないとの見方を示した。一方、シェル・エナジーもガスプロムに対してルーブルで支払う意思がないことを通告していたという。ガスプロムからシェル・エナジーへの供給量は年間最大12億立方メートルで、ドイツのロシアからのガス輸入の2.5%に当たる。
ロシアは先に、EU加盟27カ国を含む「非友好国・地域」が天然ガスを輸入する際に、ルーブル建ての支払いを求める法令を導入。ガスプロムは既に、ポーランド、ブルガリア、フィンランド、オランダへの供給を停止している。
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