ロシアの天然ガス世界最大手ガスプロムは5月31日、オランダへのガスの供給を停止した。オランダのガス販売会社ガステラ(GasTerra)が、4月に納入されたガスに対してロシア側が求めるルーブル建てでの代金支払いに応じなかったため。また、デンマークのエネルギー大手オーステッド(Orsted)も30日、ユーロ建てでの支払いを続けるために供給停止の恐れがあると警告している。
ガステラは30日に発表した声明で、ガスプロムの一方的な要求は欧州連合(EU)の経済制裁に抵触するほか、ルーブルの銀行口座開設には財務上や運営上のリスクがあるとして、ルーブル建てでの支払いには応じないと説明。10月1日までの契約分である約20億立方メートルのガスが供給されない見通しだが、すでに代替手段を講じていると明らかにした。
ガステラはオランダ政府が半分を所有し、残りは英石油大手シェルと米エクソンモービルが出資する。オランダのイェッテン気候・エネルギー政策相は今回の動きに対し、ガステラは供給停止を見越してガスを購入していたために「一般家庭や産業界への影響はない」と述べた。
オランダはガス供給の約15%をロシアに依存しているが、これはEU平均の40%を大きく下回る。
ロシアは先に、EU加盟27カ国を含む「非友好国・地域」が天然ガスを輸入する際に、ルーブル建ての支払いを求める法令を導入。ガスプロムは既にポーランドとブルガリア、フィンランドへの供給を停止している。
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