欧州委員会は12日、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した企業に対する国家補助の臨時枠組みを段階的に終了すると発表した。2020年3月の導入以来、欧州連合(EU)加盟27カ国ではこの枠組みに基づき総額3兆2,000億ユーロ近くの企業支援が承認されたが、感染者数が落ち着き経済が回復し始めたことを受けて、打ち切りを決めた。
臨時枠組みは、EU国家補助規制の一部を緩和して加盟各国の施策に柔軟性を持たせるもの。最大80万ユーロまでの直接補助を可能としたほか、政府による融資保証や公的融資、銀行による企業融資の支援、短期輸出信用保証の提供などを認めていた。当初は20年12月までの予定だったが、その後に延長を繰り返していた。
欧州委は今回、臨時枠組みの大半の措置を6月末に終了する方針を示した。ただ、投資支援と清算支援は例外とし、それぞれ今年末と来年末まで継続する。
欧州委がこの臨時枠組みに基づき承認した国家補助は950件に上り、承認ベースでの金額は計3兆2,000億ユーロ近くに達する。ただ、21年6月末までに承認された3兆ユーロ超のうち、実行された支援の額は約7,300億ユーロにとどまっている。
なお、欧州委は今年3月、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けている企業や産業の支援に向けた国家補助に関する臨時枠組みも打ち出している。[EU規制]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。