フランスのマクロン大統領は9日、東部ストラスブールの欧州議会で演説し、欧州連合(EU)と域外周辺国から成る「欧州政治共同体」の創設構想を打ち出した。ウクライナが正式にEU加盟を認められるのには数十年かかる可能性もあるとした上で、こうした国がより容易に参加できる新たな枠組みを作り、政治や安全保障、エネルギー面などで協力することを提案している。
ウクライナは、ロシアによる侵攻を受け2月末にEU加盟を正式に申請した。マクロン大統領は「同国の加盟手続きに数年、恐らくは数十年かかることは周知の事実」と指摘。ただ、手続きの迅速化に向けEU加盟基準を引き下げれば、EU統合方針を見直す必要が出てくるとし、むしろEUと並行的に存在する新共同体を設立し、地理的に欧州に位置しEUと基本的価値観を共有する国々の参加を認めるべきと話した。
新共同体はウクライナをはじめ、やはりEU加盟を望んでいるジョージアやモルドバ、西バルカン諸国の加盟を想定。また、「EUを離脱した国々」の参加も認めるとしており、英国とグリーンランドを迎える方針も示唆した。
「欧州政治共同体」はこうした国々にとって、政治や安全保障、エネルギー、運輸、インフラ投資、若年層をはじめとする人の移動などを巡る新たな協力の場となる見通し。ただ、実務面でどのように機能するかは明らかにされていない。
EU政策専門サイトのユーラクティブによると、この案にはイタリアも支持を表明している。[EU規制]
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