ドイツを代表する五つの経済研究所は13日発表した春季合同経済予測の中で、今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを昨年10月時点の4.8%から2.7%に引き下げた。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、新型コロナ危機からの経済回復が遅れる一方、物価上昇率は過去40年で最高の水準に達すると予想。ロシア産ガスの供給が停止すれば、ドイツ経済は急激な景気後退に陥り、インフレはさらに加速するとしている。
合同経済予測は、連邦経済技術省の委託により春と秋の年2回発表される。今回の予測は、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)の五つの研究所が合同でまとめた。
来年のGDP成長率は、昨年の2.9%から今年は2.7%へとさらに減速するものの、来年には3.1%への再加速を見込む。
ただ、この予測は欧州連合(EU)の対露制裁がエスカレートせず、ロシアからのガス供給が続くと仮定した「ベースラインシナリオ」の場合。ロシア産ガスの全面的な供給停止を見込んだ「悪化シナリオ」では、今年の成長率は1.9%へと大幅に減速し、来年には2.2%のマイナス成長に陥ると予測している。
インフレ率は、「ベースラインシナリオ」では今年に6.1%に加速し、過去40年で最高水準に達するものの、来年には2.8%に減速すると予測。一方、「悪化シナリオ」では、今年に7.3%に達し、来年も5%の高水準にとどまるとみている。
IfWのシュテファン・クース副所長は、「ガス供給が絶たれれば、ドイツ経済は急激な景気後退に陥る」と警告している。
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