ロシアのウクライナ侵攻が1カ月以上続く中、ドイツとフランスがロシアの外交官を国外追放処分にすることを決定した。リトアニアはロシアの大使を追放し、外交関係を格下げする。ウクライナでは先に、首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで多数の民間人の遺体が見つかった。同国のゼレンスキー大統領は現地を視察し、ロシアの行為はジェノサイド(民族大量虐殺)だと糾弾している。
ドイツのベーアボック外相は4日、ロシアの外交官40人をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)に指定し、5日以内にドイツから出国するよう命じた。同相はブチャの民間人の遺体は「ロシアの指導者たちの信じられない残酷さとウクライナを破壊しようとする意図」を物語っていると述べた。
欧米諸国は侵攻開始からこれまでに、合わせて約150人のロシアの外交官を国外追放処分にしている。ドイツはこうした諸外国の動きに追随しない姿勢を貫いてきたが、ここにきて方針転換をした格好だ。
ドイツ外務省の決定を受け、在独ロシア大使館は、ブチャで民間人の大量虐殺が行われたという報道はウクライナ政府による偽装だとの声明を発表した。インタファクス通信によると、ロシア政府はドイツに対する報復措置を取る構えだ。
フランス外務省もこの日、ロシアの外交官数人を国外追放すると発表。これらの人物の活動がフランスの安全保障を脅かしているためと説明した。地元テレビ局BFMTVは追放される外交官の数は30人と伝えている。
リトアニア外務省は同日、駐リトアニアのロシア大使を国外追放するとともに、ロシアとの外交関係を格下げすると発表した。リトアニア西部のクライペダ(Klaipeda)にある領事館を閉鎖し、駐ロシアのリトアニア大使を本国に召還する。
5日には、スウェーデンがロシアの外交官3人を、スペインはロシア大使館職員約25人を国外追放すると発表。イタリアは30人、デンマークは15人の追放を決定した。
ウクライナ当局によると、キーウ近郊のブチャやイルピン(Irpin)ではこれまでに合わせて410人の民間人の遺体が発見された。後ろ手に縛られたり、処刑のようにこめかみを撃ち抜かれた遺体や戦車にひかれたとみられる遺体もあるという。
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