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英政府、春季財政報告を公表 経済見通しを引き下げ

スナク財務相は23日、下院で春季財政報告を行った。ロシアによるウクライナ侵攻の影響を背景に、国内経済の伸び悩みと高インフレが予想されると指摘。家計や企業への打撃緩和に向けた減税措置を打ち出す一方、4月から国民保険料を1.25%引き上げる方針は維持している。

家計や企業への打撃緩和に向け減税を発表したスナク財務相(英政府提供)

家計や企業への打撃緩和に向け減税を発表したスナク財務相(英政府提供)

同相は、ウクライナを支援し、ロシアに厳格な経済制裁を科すためには、軍事面だけでなく経済的なセキュリティー(安全保障)が求められると説明。「今回の財政報告は、より強力で確実な国内経済を築くものだ」と強調した。

これに対し、最大野党・労働党のリーブス影の財務相は、家計支援の財源として、エネルギー価格高騰で利益が増加した企業に対する超過利潤税が導入されなかったことを批判。また、国民保険料の引き上げが撤回されなかったことについて「スナク氏は、自分は低税率の信奉者だと主張するが、実際にやっていることはその逆」と非難した。

骨子は以下の通り。

■家計支援

ガソリン・ディーゼルにかかる燃料税をこの日から来年3月まで、1リットル当たり5ペンス引き下げる。国民保険(NI)の課税最低限を7月から約3,000ポンド引き上げ、1万2,570ポンドとする。2024年には、所得税の基礎税率を現行の20%から19%に引き下げる。

また、断熱材や太陽光パネル、熱ポンプなど住宅のエネルギー効率改善に向けた製品の付加価値税(VAT)を今後5年間撤廃する。低所得層の生活保護に向けた地方自治体の基金に5億ポンドを追加拠出する。

■企業支援

中小企業向けNI拠出金補助を4月から1,000ポンド引き上げ5,000ポンドとする。バッテリーや太陽光パネルなどのグリーン技術を手掛ける企業は、4月から事業税の課税対象外とする。23年4月から重要データの貯蔵や純粋数学研究の費用に対する課税控除を導入する。

■成長率見通し

予算責任局(OBR)はこの日、今年の国内総生産(GDP)の成長率見通しを昨年10月時点の6%から3.8%に引き下げた。23年は1.8%の伸びを見込んでいる。今年のインフレ率見通しは7.4%に達すると予想。来年には4%に減速するとみている。

財政赤字額を示す公共部門純借入額(PSNB)は、21/22年度の1,278億ポンドから22/23年度は991億ポンドに減ると予測。対GDP比では、21/22年度の5.4%から22/23年度は3.9%に減り、その後も減少を続けるとみている。公的債務残高の対GDP比は21/22年度が95.6%、22/23年度は95.5%で推移すると予想する。


関連国・地域: 英国
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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