欧州委員会は8日、2030年までにロシアの化石燃料への依存から脱却する「リパワーEU」計画を発表した。同国のウクライナ侵攻を受けたもので、まずは天然ガスに焦点を当てる。欧州連合(EU)が昨年に輸入したガスの45%はロシア産だが、今年中に同国への依存度を3分の1に下げる方針だ。
リパワーEUでは、ロシア産化石燃料への依存を徐々に減らし、30年より「かなり早い」段階でゼロにする計画。実現に向け、ロシア以外の国からのガス輸入を増やすほか、バイオメタンと再生可能水素の生産・輸入を拡大し、ガス供給の多様化を目指す。また、エネルギー効率を上げ、再生可能エネルギーの利用を増やすことで、化石燃料の使用削減を加速させる。
バイオメタンについては、生産目標を従来の2倍強に引き上げ。農業廃棄物などの持続可能な資源を用い、30年までに年間350億立方メートルの生産を目指す。一方、水素については、インフラを整えることで同年までに追加で1,500万トンの再生可能水素の利用が可能となり、年間250億~500億立方メートルのロシア産ガスの代用になると見積もっている。
欧州委は今回の計画により、段階的に最低でも1,550億立方メートルの天然ガス使用量を削減できると見込む。これは昨年のロシアからの輸入量に相当するため、今年中に同国からの輸入を3分の2近く減らすことが可能とみている。
なお、EUが昨年に輸入した化石燃料のうち、原油の25%、石炭の45%はロシアからで、いずれもトップシェアとなっている。[EU規制][環境ニュース]
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