ドイツのショルツ首相は2月27日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、2022年度予算で連邦軍に1,000億ユーロを拠出すると発表した。また、北大西洋条約機構(NATO)がかねて加盟国に求めている、国防費を対国内総生産(GDP)比で2%に拡大することも実現させると強調。同首相はウクライナへの武器提供も決めており、これまでの消極的な外交・防衛政策から大きく方針転換している。
ショルツ氏は連邦議会の演説で「自由と民主主義を守るため、安全保障により多く投資する必要がある」と説明。今後は毎年、GDPの少なくとも2%を国防費に充てると表明した。
NATOは加盟国の国防予算について、対GDP比2%とする目標を掲げる。ただドイツは第2次世界大戦の歴史的経緯や根強い平和主義を背景に、毎年1.5%程度にとどまっており、米国や他の加盟国はかねて、ドイツ政府に国防費引き上げを求めていた。ドイツの21年度の国防予算は全体で約470億ユーロで、NATOの統計によると、昨年度の国防費の対GDP比は1.53%だったと推定される。
連邦軍の予算増額については、特別基金を設立して資金投入を行う。ショルツ氏は併せて、米国の航空・防衛大手ロッキード・マーティン製の戦闘機「F―35」を購入し、老朽化が進む現行の「トルネード」と入れ替えることも検討していると述べた。
また、ドイツ政府がウクライナへの武器提供を決めたことについて、ショルツ氏は「ロシアのプーチン大統領の交戦態勢に、他の答えは見当たらない」と指摘し、「同大統領はすぐに高い代償を払うことになると気付くだろう」と述べた。その上で、「われわれには、タブーなくさらなる対露制裁を科す権利がある」と警告している。
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