英政府統計局(ONS)は11日、2021年の国内総生産(GDP、速報値)が前年比で7.5%拡大したと発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で9.4%落ち込んだ20年から経済が回復し、第2次世界大戦以降で最大の伸びを記録。主要7カ国(G7)でもトップの伸び幅を示した。
産業別に見ると、英経済の原動力であるサービス業は7.4%拡大。前年のマイナス8.8%からプラスに転じた。うち流通・ホテル・レストランは12.4%増加。自動車販売を含む運輸・倉庫・通信は5.7%、ビジネスサービス・金融は3.1%それぞれ拡大している。
鉱工業は4.7%増加し、前期のマイナス8.4%からプラスに回復した。うち製造業は6.8%拡大し、水道・下水・廃棄物処理は5.2%、電気・ガス・蒸気・空調供給は1.8%それぞれ伸びた。一方、採鉱・採石は13.4%減少している。
建設業は12.7%増えたが、農林水産業は0.4%のマイナスに沈んだ。
GDPは第4四半期(10~12月)に前期比で1%拡大。伸びは前期から横ばいだった。前年同期比では6.5%と、前期の7.1%から伸びが減速した。
スナク財務相は「政府による適切なタイミングでの支援策で、経済は驚くほど回復した」と分析した。一方、ONSの経済統計担当トップ、ダレン・モーガン氏は「21年の成長は、経済が急激に落ち込んだ20年の数字からきたものだ」とコメント。数字上はG7でもトップの成長を示したが、パンデミック前の水準比では中位に位置しているとして、厳密な比較は避けるよう注意を促した。
国際通貨基金(IMF)は1月、英国の今年のGDP成長率見通しを4.7%と、前回予想から0.3ポイント下方修正。来年については2.3%増と、0.4ポイント引き上げている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。