スナク財務相は27日に公表する新年度予算案で、公共サービスへの投資を柱に据える見通しだ。中でも国民医療制度(NHS)イングランドには、医療機器や人材の拡充に向け新たに59億ポンドを投じる計画。BBC電子版が25日伝えた。
59億ポンドの財源には、国民保険(NI)料の引き上げと、2022年に導入される医療・ソーシャルケア税を充てる。このうち23億ポンドは、CTスキャンやMRI、超音波検査といった診断装置と人材に投じられる予定。また、15億ポンドは病床や設備、手術室の拡充に、21億ポンドはIT(情報技術)の改良に投じる。
公共サービス関連ではほかに、家庭・児童支援に5億ポンド、犯罪対策に4億3,500万ポンドをそれぞれ投資する案を打ち出すと伝えられている。また、イングランドの16~19歳向けの新実務資格「Tレベル」に16億ポンド、成人の職業訓練に5億5,000万ポンドをそれぞれ投じる見通しだ。
スナク氏は公共放送BBCのテレビインタビューで、「より力強い経済の要因の一つは、公共サービスの強化にある」と話している。
公共サービス以外では、イングランドで新築住宅の建設に20億ポンドを投資する計画も打ち出される見通し。開発済みだが未使用または荒廃した土地に計16万戸の「グリーン住宅」を建設する。また、900万ポンドを投じて全英の市街地100カ所にミニ公園を設置する案も盛り込まれる見込み。このほか、先にはロンドン以外の交通機関に70億ポンドを投資する計画や、医療分野の研究開発(R&D)に50億ポンドを投じる計画も報じられている。
予算案ではこのほか、昨年度に大部分が凍結された公共部門の賃金が引き上げられるかどうか、コロナ禍を受けた緊急支出が一段落したことを受け、新たな財政規律が導入されるかどうかなどが注目される。[労務]
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