ドイツを代表する五つの経済研究所は14日に発表した秋季合同経済予測の中で、今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを4月時点の3.7%から2.4%に引き下げた。サプライチェーン(調達・供給網)の混乱で中間財の供給が滞っており、製造業生産に支障が出ているため。ただ、経済活動は2022年中には通常通りに戻ると予想している。
合同経済予測は、連邦経済技術省の委託により春と秋の年2回発表される。今回の予測は、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)の五つの研究所が合同でまとめた。
それによると、原材料や中間財の供給ボトルネックが当面続き、製造業の生産を圧迫し続けると予想。消費者関連のサービス業のみで成長が見込まれるとした。また、今冬は回復速度が鈍化する一方、来年には新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による影響の反動が起き、供給問題も徐々に解決すると分析する。このため、2022年のGDP成長率見通しについては4.8%と、前回予測から0.9ポイント引き上げた。
就業者数は昨年の4,489万8,000人が今年には4,491万8,000人となり、来年には4,536万8,000人を見込む。失業率も昨年の5.9%から今年は5.7%、来年は5.3%にまで低下するとみている。
インフレ率は今年に3%に加速した後、来年には2.5%に減速すると予測。公的部門の財政収支は、財政赤字が対GDP比で4.9%に達するが、来年には赤字幅が2.1%まで縮小すると見込んでいる。
IWHのオリバー・ホルテミュラー教授は、新型コロナ危機の影響は徐々に克服できるとみる一方、「気候変動の課題や労働力不足による低い経済成長が予測されることで、消費機会が減少する」と分析している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。