欧州の天然ガス価格の指標となるオランダTTF先物11月限が6日、1メガワット時当たり155ユーロに達し、過去最高を更新した。英国でも、天然ガスのスポット価格が初めて1サーム(29.3キロワット時)当たり3ポンドを超え、3.55ポンドを記録。いずれも2日連続で史上最高値となった。
オランダTTF先物11月限は5日、前日終値を26%上回る1メガワット時当たり120.8ユーロに上昇。一方、英国のスポット価格も同日、前日より32%高い1サーム当たり2.77ポンドに届き、2018年3月の記録を更新していた。
相次ぐ記録更新には、天然ガスの備蓄水準が低く、ロシアからの供給量が減っていることに加え、寒さや風力不足、フランスの原子力発電所でのストライキなどが影響している。専門家は、冬が近づき世界的な在庫の減少で需要が高まる中、供給の対応が遅れていると分析する。
欧州委員会のシムソン・エネルギー担当委員は、「天然ガスの地下貯蔵水準は欧州全体で75%を超え、過去10年間の平均より低いものの、冬季の需要に応えるには十分だ」と説明。価格高騰は、再生可能エネルギーへの切り替えと、欧州連合(EU)のガス市場の改革に早急に取り組む必要性を示していると指摘する。
一方、英国では、エネルギー企業が原価割れで電力・ガスを供給する事態となっており、9月末までに中小エネルギー企業10社が破綻。今後もさらなる破綻が懸念されている。
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