英国のジョンソン首相と米国のバイデン大統領は21日、ホワイトハウスで会談した。気候変動問題や英領北ア通商問題、アフガニスタン情勢などについて90分にわたり話し合ったが、これに先立ち両首脳が示唆した通り、両国間の自由貿易協定(FTA)の交渉に向けた進展はなかった。
英首相官邸は「両首脳は将来のFTAに向けて協力を続けることで合意した」と発表。バイデン大統領は会談に先立ち、「FTAについては今日は少し協議した上で、今後も取り組みを続ける」と述べていた。ジョンソン首相も先に、次回総選挙までに米とのFTA締結は可能かとの質問に対し「米国人はきわどい交渉をしてくる」と答え、締結までの道のりが長いことをうかがわせた。
情報筋によると、英政府は米国・メキシコ・カナダの3カ国が締結した貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に加盟することを検討している。USMCAは、1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に伴い、トランプ前政権下の2018年に締結された。FTA交渉について、英政府の情報筋は「方法はいろいろある。問題は米政府の準備ができているかどうかだ」と指摘した。
バイデン大統領は、英国の欧州連合(EU)離脱協定に含まれる「北アイルランド国境問題にかかわる議定書」の再交渉問題について、北アの社会的安定が脅かされることがないよう、改めて警鐘を鳴らした。
アフガニスタン情勢については、ジョンソン首相とバイデン大統領はあらゆる外交・人道的手段を使って状況の悪化を食い止める必要があるとの見解で一致。国際社会は、人権尊重をタリバン政権承認の前提とするべきと述べた。
また、バイデン大統領は会談に先立ち、英国のグラスゴーで11月に開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第26回締約国会議(COP26)に向けて、途上国の気候変動対策の支援資金として24年までに114億ドルを拠出することを発表した。[環境ニュース]
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