今年前半にイングランドに到着した旅行者のうち、3分の1近くが自主隔離の規則に違反していた疑いがあることが明らかになった。英国では当時、感染力が強い変異株の感染が急速に拡大していただけに、管理のずさんさが指摘されている。BBC電子版が13日伝えた。
政府は5月、変異株の流入阻止に向け渡航先のリスクを「赤」「アンバー(黄)」「緑」に色分けし、「赤」に指定された国・地域からの入国者には、政府指定の有料宿泊施設での10日間の自主隔離を義務付けた。一方、「黄」は自宅などで入国後10日間の自主隔離とし、「緑」については自主隔離が免除された。
公共放送BBCが入手した公式統計によると、3月17日~5月31日に感染リスクが中程度の「黄」リストの国・地域からイングランドおよび北アイルランドに到着した旅行者100万人超のうち、30万1,076人が入国後の自主隔離規則に違反した疑いがあるとみられている。
これらの入国者は、保健・社会福祉省からの確認の電話に応じなかったり、規則違反を示唆したため、入国管理局の刑事部門と警察に捜査が依頼されていた。違反が疑われるケースについては、同部門および委託先の民間業者が自宅を訪問することになっている。
加えて、黄リスト国・地域からの入国者らの話によると、全入国者に毎日、確認の電話がかけられていたわけではなく、これ以外にも違反者は多数いる可能性がある。
最大野党・労働党のイヴェット・クーパー議員は、「フォローがきちんとされていないことをかねて懸念していた」とコメント。「自宅での自主隔離の大きな抜け穴がデルタ株の拡大を促した」と批判している。イングランドでは6月以降、インド由来の「デルタ株」の感染拡大により感染者数が急増。ロックダウン(都市封鎖)の全面解除が延期された経緯がある。
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