英中銀イングランド銀行は15日、四半期ごとのインフレ報告書を発表し、2年後のインフレ率予想を約1.8%に引き上げた。前回11月時点では約1.3%を見込んでいた。経済環境の先行き不透明感を強調しながらも、市場予想を上回る強気の見方を示した形で、一段の量的緩和には否定的な姿勢ともとれる。
同行は、原油や輸入品の価格高騰が一段落し、失業率が悪化する中、インフレ率は短期的に急落するものの、その後は金融緩和策の影響などでやや上昇するとみている。政府統計局(ONS)によれば、1月のインフレ率は3.6%となり、ここ2カ月で1.2ポイントも下落した。
マービン・キング総裁は英国経済の見通しについて、国内の緊縮財政と主要取引相手国の経済不振が成長の足かせになるとし、「年内はプラスとマイナスを行き来する」と予想。ただその後は金融刺激策の効果で実質家計所得が増加するにつれ、徐々に回復するとしている。中期成長率見通しについては、2014年第1四半期(1~3月)までに年率で3.2%になるとし、見通しを11月時点の3.2%から引き下げた。
イングランド銀は先に、政策金利を過去最低の0.5%に据え置く一方、量的金融緩和策の規模を従来の2,750億ポンドから3,250億ポンドに引き上げている。今回の報告書は追加的な量的緩和の可能性を否定するものともとれるが、市場では3%のGDP成長率予想を楽観的過ぎるととらえ、年内に一段の緩和が実施されるとの見方も根強い。
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