英下院(定数650)は8日夜、2022年4月から国民保険料を1.25%引き上げる案を319対248の賛成多数で可決した。介護制度と国民医療制度(NHS)の拡充に向け、年120億ポンドを調達する計画だが、公約に反して増税を行うことになる。このため、与党・保守党から5人の造反議員が出たほか、一部議員は投票を棄権。最大野党・労働党は反対票を投じた。
この法案は、まず22年4月に国民保険料を雇用主負担分も含めて1.25%引き上げ、23年以降は同等の税金を別立てで所得に課すもの。併せて、株式配当収入にも1.25%の税金が新たに課される。税収は、新型コロナウイルス危機により治療の先送りが問題となっているNHSへの投資と、長年の懸案事項である介護制度改革の原資とする。
ジョンソン首相は採決に先立ち「難しい決断だが国民はこれを望んでいる」と強調した。
ジョンソン首相は19年12月の総選挙前に、所得税や国民保険料を引き上げないと約束していた。保守党からは5人の造反に加え、37人の議員が投票を棄権。最大野党・労働党のスターマー党首は同法案を「公約違反」と批判するとともに、こうした増税は若年層や低・中所得層に負担を強いるとし、高所得層の負担を拡大するよう求めていた。
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