先進7カ国(G7)首脳は24日午後、オンラインで緊急会議を開催し、アフガニスタン情勢について協議した。議長国である英国のジョンソン首相や欧州連合(EU)首脳らは、31日を期限とする米軍のアフガン撤収を先延ばしするよう要請したが、バイデン米大統領はこれに応じなかった。反政府武装勢力タリバンはアフガン国民の脱出を阻止すべく躍起になっており、9月以降も撤退活動が継続できるかが焦点となっている。
G7は会議後の声明で、アフガニスタンが再びテロリズムの温床やテロ攻撃の拠点となってはならないと強調。将来のアフガン政権は国際的な義務を果たし、テロリズムと戦い、特に女性や子供、民族的・宗教的少数者の人権を保護し、法の支配を順守すべきだと訴えた。また、アフガン難民の受け入れで近隣諸国などと協力するとし、同時に各国国民やアフガン人協力者の安全な退避を優先する姿勢を示している。
アフガニスタンの首都カブールの国際空港には、今も国外への避難を求める人々が殺到している。ミシェルEU大統領は米国に対し、退避完了に要する期間中は空港を防衛する必要があると伝えたほか、国外脱出の権利保有者はいずれも平等に空港にたどり着けるようにすべきだとした。一方、バイデン米大統領は「一刻も早く完了させる方が良い」とし、31日の撤退完了に向けて順調に進んでいると主張。あくまで期限は延ばさない格好だ。ただし、期限を順守できるかは空港へのアクセスを確保する上でタリバンが協力的であるかによるとし、期限延長を拒否しているタリバンにくぎを刺している。
フィナンシャル・タイムズによると、フランスは自国民や同国のために働いたアフガン国民の退去を31日までに完了できる見通し。ジョンソン英首相は、G7諸国は31日以降もアフガン国民の国外脱出を許可するようタリバンに圧力をかけることで合意したとしている。
■中国とロシア、G7に同調せず
中国の人民日報によると、中国とロシアの両首脳は25日、アフガン情勢について電話会談で意見を交わした。
中国の習近平国家主席は、アフガニスタンの主権に関わる問題に介入しないという従来の立場を改めて表明。プーチン露大統領は、中国の立場に同調するとした上で、「アフガニスタンに介入し、破壊する外国勢力を阻止する」ために中国と協力すると発言した。
両首脳の電話会談が行われたのはG7緊急会議の翌日。アフガン情勢について、G7に同調しない両国の立ち位置を示した。
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