英製薬大手アストラゼネカは20日、新型コロナウイルス感染症(COVID19)向けの抗体カクテル療法「AZD7442」の第3相臨床試験で、発症リスクを77%低減する予防効果が得られたと発表した。予防効果は最長1年にわたり持続するとしており、ワクチン接種が適さない人々への投与に期待が高まっている。
「AZD7442」は、2種類の抗体を混ぜて投与する療法。第3相臨床試験に参加した5,197人のうち、3分の2に同療法を施し、残りの3分の1には偽薬を投与した。全体のうち、治験開始時点で新型コロナウイルスに感染していなかった5,172人の感染状況を追跡したところ、抗体カクテル療法を施したグループではCOVID19の重症患者や死亡事例が皆無だったのに対し、偽薬を投与されたグループでは3人が重症化し、うち2人が死亡した。
「AZD7442」の投与による重大な副反応はなかった。また、参加者の75%以上は、糖尿病や過度の肥満など重症化リスクを高める基礎疾患があり、中には免疫力抑制疾患の患者や、免疫抑制薬を投与されている患者など、ワクチンの効果が期待できない人も含まれていた。
同社は6月、感染者と濃厚接触した人を対象に同療法の治験を実施したが、期待した効果は得られていなかった。同社はその際、抗体カクテルをより早期に投与すれば、効果が得られる可能性があるとしていた。
アストラゼネカは今後、各国当局に「AZD7442」の緊急承認を申請する。フィナンシャル・タイムズによると、同社は米国に70万回分の「AZD7442」を供給する契約を結んでおり、取引額は最大7億2,600万ドルに上るとされる。
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