ドイツ政府は10日、7月に西部を中心に発生した洪水の被災地復興に向け、総額300億ユーロの復興基金を設立することで合意したと発表した。近く、資金拠出に必要となる法整備を行う見通し。
連邦政府と連邦16州の首相はこの日開催したビデオ会議で、総額300億ユーロの復興基金「開発援助2021」の設立で合意。メルケル首相は、被災地支援に当たるボランティアに感謝の意を表した上で、今回の復興計画については「国の連帯の印だ」と語った。
政府は支援総額のうち280億ユーロを洪水被害を受けたノルトライン・ウェストファーレン州とラインラント・プファルツ州の復興に充てる方針。この半分を連邦政府が、残りの半分を連邦16州が拠出する。残りの20億ユーロは連邦政府が請け負い、鉄道や道路、橋などのインフラ整備費用をカバーするという。なお政府は向こう30年かけて消費税収入から資金を賄う計画だ。
政府はさらに、同国の警報システムの刷新に向け、2023年までに最大8,800万ユーロを拠出することでも合意した。今後、危機発生時には地元の携帯電話網の基地局に接続された携帯電話に対し、緊急警報を送信するという。
これに加え、政府は7月末に、緊急支援策として総額4億ユーロの拠出で合意。農業や林業、商業、地方自治体への支援に充てられる。うち連邦政府が2億ユーロ、連邦16州が残りの2億ユーロを支払うが、必要に応じて増額する方針という。
ノルトライン・ウェストファーレン州当局は、「復興支援計画が迅速に合意されたことは心強い」とした上で、「地域とインフラ再建には何年も要するほか、気候変動への対応にはさらなる努力が必要になるだろう」と述べた。ラインラント・プファルツ州当局も、政府の復興支援策を歓迎。一方で「インフラが完全に破壊されたため、一部の地域ではゼロからの再構築となる」とし、再建費用の規模が現在の見積もりを超える可能性があると懸念を示した。
今回の洪水では、多数の家屋や店舗、インフラが損壊したほか、少なくとも190人の犠牲者を出した。
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