英国で10日、新型コロナウイルスワクチンの2回目の接種を完了した成人の数が3,968万8,566人となり、全成人の75%を超えた。ジョンソン首相は、節目となる接種者数の達成を喜ぶとともに、未接種者には早めの接種を呼び掛けた。一方、専門家の間では、ワクチン接種の展開速度が落ちていることや、感染力の強いインド由来の変異株「デルタ株」が流行している限り、集団免疫獲得は不可能とする声が上がっている。
英国は2020年12月8日にワクチン接種を開始。これまでに8,670万回の接種が行われ、21年3月20日には1日当たり最多の75万2,000回を記録した。これ以降、接種ペースは減速している。現時点で、18歳以上の成人10人に1人に相当する600万人近くが、まだ1回も接種を受けてない。
ジョンソン首相は「自分自身だけでなく大切な人たちを守り、安全に自由な生活を送るために、まだ接種を受けていない人は、できるだけ早く接種を予約してほしい」と呼び掛けた。
だが、予防接種・免疫合同委員会(JCVI)の委員長で、オックスフォード大学ワクチングループのトップを務めるアンドルー・ポラード教授は、デルタ株に対する集団免疫獲得は「神話のようなもの」と指摘。ワクチンにより感染拡大の速度を抑えることはできるかも知れないが、ワクチン接種を受けた人も感染しており、流行を完全に食い止めることはできないとの見方を示した。
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