ドイツ野党の90年連合・緑の党は3日、「緊急気候保護プログラム」を発表した。9月の総選挙に向け、低下傾向にある支持率を挽回する狙いで、「気候保護省」の新設など10項目の提案を打ち出している。
気候保護省は、すべての法案が地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定の目的に沿うことを確認する。具体的には、同省傘下にパリ協定に反する法案への拒否権を持つ「気候タスクフォース」を設置する。同タスクフォースは、新政権樹立から100日間は毎週、会合を開く。
このほか、次年度の連邦予算で気候保護への投資を150億ユーロ拡大することや、環境に有害と見なされる補助金を100億ユーロ削減することも提案している。また、石炭火力発電所の段階的廃止の期限を現行の2038年から30年に前倒しするほか、再生可能エネルギー開発を加速するとしている。
同党のアンナレーナ・ベーアボック共同党首は、7月に国内西部を中心に発生した大規模な洪水被害に触れ「気候危機は抽象的なものではなく、目の前で実際に起きていることだ」と指摘。「これに対処するために、できる限り手を尽くす必要がある」と話した。
90年連合・緑の党は4月、ベーアボック共同党首を首相候補に擁立すると発表。同党の当時の支持率は、メルケル首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)の保守連合を押さえて首位だった。しかし、その後はベーアボック氏の経歴詐称疑惑や、盗作疑惑、クリスマス賞与の申告漏れなどが浮上し、支持率が低下している。[環境ニュース]
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