ドイツのメルケル首相と米国のバイデン大統領は15日、ホワイトハウスで会談した。ロシア産天然ガスをバルト海経由で欧州に輸送する新パイプライン「ノルドストリーム2」の敷設を巡ってはなお意見の相違が見られたものの、ロシアの侵略に団結して立ち向かうことで合意した。
米国はかねて「ノルドストリーム2」を巡り、欧州がロシア産ガスに依存することや、ウクライナなど同国の近隣諸国がパイプライン経由地としての役割を失い、ロシアの政治的影響力が増大することを懸念している。バイデン大統領はオバマ政権下で副大統領を務めていた時から敷設に反対していたが、ドイツは一貫して工事を推進。プロジェクトは完成間近とみられる。
バイデン大統領は会談後の声明で、「ノルドストリーム2については、あらためて懸念を表明した」ものの、「メルケル首相とは、ロシアがエネルギーを武器に近隣諸国を脅かすべきではないという点で一致した」と表明。「米国とドイツは、ロシアの攻撃から北大西洋条約機構(NATO)の東方の同盟諸国を守るため、引き続き一致団結する」と話した。
メルケル首相は「ノルドストリーム2の評価では相違がある」とした上で、「同プロジェクトはウクライナ経由のガス輸送にとって代わるものではなく、追加的なもの」と強調している。
両首脳はこのほか、対中国関係でも協調姿勢を示した。バイデン氏は「中国などが自由で開かれた社会を損なおうとすれば、われわれは民主主義と人権のために立ち上がる」としている。
■EUからの入国解禁見通しは近日中に
バイデン大統領はこの日、メルケル首相との会談後の記者会見で、欧州諸国から米国への入国規制を緩和するかどうかについて、向こう数日中に決定する方針を示した。
欧州連合(EU)は6月、米国からの不要不急の目的での入域を許可したが、米国はEUおよびシェンゲン協定国からの入国を引き続き禁止している。同大統領は、記者会見で解禁の見通しについて質問を受け、「現在検討中だが、数日中には回答できる」と答えた。メルケル首相も会談でこの問題を取り上げたとしている。
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