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独与党、マニフェスト公表 増税行わず気候変動対策も両立へ

メルケル首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)と、姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)は21日、9月に行われる連邦議会(下院)選挙に向けたマニフェストを公表した。現在のリードを固めて総選挙で勝利することを目指し、緑の党とは対照的に富裕層向けの増税は行わないことや、経済成長と両立する形での気候変動対策を行うことなどが盛り込まれた。

マニフェストは「安定と刷新のためのプログラム」と題され、CDUのラシェット党首は「一貫した気候変動対策と経済、社会保障を組み合わせた」と説明。「ドイツの近代化に向けた推進力となる」と述べた。

CDU・CSUはマニフェストの中で、増税を行わないと公約。その上で、旧東ドイツ地域の経済開発支援のため東西統一後に導入された「連帯税」を廃止し、低・中所得世帯や子供を抱える世帯に対する税負担の軽減を実現させたい考え。また、新たな借り入れを国内総生産(GDP)のわずかな割合に制限する「債務ブレーキ」へのコミットメントも強調した。

こうした財政政策について、経済学者などからは、財源をどう賄うのかが不透明で「非現実的」との批判も出ている。ラシェット氏は「マニフェストは大幅な減税プログラムではない」とし、「密に計算されたもので、現実的に実行できるプログラム」だと説明している。

外交政策については、トルコの欧州連合(EU)加盟を拒否する方針。また、拡大する中国の脅威には断固として対抗する半面、パートナー国として緊密な関係を築くとしている。ロシアに対しては、ウクライナ東部における紛争の終結や、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部のクリミア半島の合法的な地位の復帰に向け働き掛けると述べている。

気候変動対策では、2045年までに同国における気候中立の達成に向け「持続可能な成長、気候保護、社会保障を組み合わせる」とした上で、「企業にさらなる負担を求める」と説明した。しかし、支持率を伸ばしている90年連合・緑の党のベーアボック共同党首は、真の改革プロジェクトではなく「混乱を招くだけ」と一蹴。排出権取引に関するさらなる拠出を表明したことなどについても、不公平で不正義だと非難している。

世論調査会社INSAの最新の調査では、CDU・CSUの支持率は28%となっており、緑の党の20%を上回っている。連立与党に参加する中道左派・社会民主党(SPD)は16%、自由民主党(FDP)の支持率は13%とこれに続く。ラシェット氏は、CDU・CSUがより強固になり、緑の党主導の3党連立政権シナリオはもはや現実的ではなくなることを目指すと述べた。


関連国・地域: ドイツ
関連業種: 政治

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