欧州委員会は12日発表した春季経済見通しの中で、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比4.3%拡大するとの見通しを示した。前回2月の冬季見通しでの予測3.8%から大幅に引き上げた。新型コロナウイルスのワクチン展開や制限措置の緩和に伴い、域内経済は力強く回復すると予想。来年中には危機前の水準に戻るとみている。
来年の成長率は4.4%と、前回予測から0.6ポイント引き上げた。欧州連合(EU)加盟27カ国のGDPは、今年は4.2%、来年は4.4%それぞれ拡大すると見込む。成長率は加盟国によりばらつきがあるものの、2022年末までには全加盟国が危機前の水準に回復すると見込む。
今年の予測を国別に見ると、ドイツは3.4%と秋季見通しから0.2ポイント引き上げた。フランスも0.2ポイント上方修正して5.7%と予測。イタリアは0.8ポイント引き上げ4.2%としている。スペインの見通しは、前回の5.6%から5.9%に引き上げた。
ユーロ圏のインフレ率については、今年は1.7%と昨年の0.3%から大幅に上昇し、来年は1.3%に減速するとみる。EU全体の今年のインフレ率は1.9%、来年は1.5%と予想している。
欧州委は、欧州経済の回復は、個人消費や投資の伸びと、世界経済の改善に伴う輸出需要の拡大がけん引すると予想。中でも公共投資は、新型コロナウイルス危機を受けたEUの復興計画に基づく「復興・強靭化ファシリティー」を原動力として、2022年には対GDP比で過去10年以上で最高水準に達するとみている。
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