英政府統計局(ONS)は12日、2021年第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP、速報値)が前期比で1.5%縮小したと発表した。新型コロナウイルス流行を受けた3度目のロックダウン(都市封鎖)と欧州連合(EU)離脱移行期間終了に伴う貿易ルールの変更などを受け、第4四半期の1.3%増からマイナスに転じた。スナク財務相は、3月単月では2.1%のプラス成長を記録したことを「良い兆候」として「英経済は回復途上にある」との見方を示している。
産業別に見ると、英経済の原動力であるサービス業は2%縮小。前期の1%増からマイナスに転じた。うち流通・ホテル・レストランが大きく7.4%落ち込んだほか、自動車販売を含む運輸・倉庫・通信は0.5%縮小。半面、ビジネスサービス・金融は0.4%増えている。
鉱工業は0.4%減少し、前期の2%増からマイナスに転落。うち採鉱・採石は2.5%減少し、製造業は0.7%縮小した。一方、水道・下水・廃棄物処理は2.2%増え、電気・ガス・蒸気・空調供給は1.4%拡大している。
建設業は2.6%増加。農林水産業は3.4%縮小した。
GDPは前年同期比では6.1%減少。前期の7.4%減から落ち込みが減速している。
ONSは今回の結果について、サービス業と製造業の生産が縮小したものの、建設業が伸びたと指摘。第1四半期初めに学校が閉鎖し小売売上高が大幅に落ち込んだことがGDPを引き下げたと分析する。第1四半期のGDPは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の19年第4四半期の水準を8.7%下回っている。
英中銀イングランド銀行は先に、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み経済活動の規制緩和に伴い、GDPは第2四半期には大きく伸びるものの、依然として19年第4四半期の水準を約5%下回ると予想。ただ今年後半からはパンデミック前の水準に向けて力強く回復し、通年では7.25%と、前回予想の5%を上回るとの見方を示している。
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