ドイツの連立与党に参加する中道左派の社会民主党(SPD)は9日、9月に行われる連邦議会(下院)選挙に向け、党員投票で賛成多数を得たショルツ財務相を首相候補として正式に指名したと明らかにした。同党は、昨年8月にもショルツ氏の擁立を表明していたが、今回で最終的な承認を得た形となる。
SPDはこの日、ショルツ財務相の擁立を巡り、約600人の党員投票を実施。96.2%の支持を獲得したことで、同氏の指名が決定した。
ショルツ氏は、財務相として、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下における、企業やフリーランスに対する救済策の起草を率いた。各資金援助策のほか、工場を稼働させたままにする方針を取り、大量解雇の危機を回避したとされている。
ショルツ氏はまた、選挙公約として、最低賃金の引き上げを含む労働者の生活改善に重点を置いた施策を掲げる。同氏はその中で「首相1年目には、最低賃金を12ユーロに引き上げる」と公表。これにより、約1,000万人の賃金が引き上げられると指摘している。他にも、保健システムや教育機関、公共交通機関の強化を目的とした投資も行うと表明している。
SPDは2017年、メルケル首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)および姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)と、3回目となる連立を組んだ。しかし、当初はSPD支持層に当たる労働者階級の支持を失う恐れから、党内から連立に反対する声も上がっていた。
最新の世論調査では、野党の90年連合・緑の党の支持率が約26%となり、CDU・CSUの保守連合を押さえて、トップに浮上している。緑の党は先に、アンナレーナ・ベーアボック共同党首を首相候補として擁立したばかり。半面、SPDの支持率は16%前後で、3番手にとどまっている。
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