ドイツを代表する五つの経済研究所は15日発表した春季合同経済予測の中で、今年の国内総生産(GDP)成長率の見通しを昨年10月時点の4.7%から3.7%に引き下げた。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための制限措置が長引き、景気回復が遅れているため。ただし、ワクチンの接種が広がり感染リスクが低下すれば、力強い回復に向かうと予想している。
合同経済予測は、連邦経済技術省の委託により春と秋の年2回発表される。今回の予測は、Ifo経済研究所、RWI経済研究所、ドイツ経済研究所(DIW)、ハレ経済研究所(IWH)、キール世界経済研究所(IfW)の五つの研究所が合同でまとめた。
それによると、制限措置の緩和は第2四半期(4~6月)半ばまでは見込めず、おそらく第3四半期末までに解除されると予想。夏までの半年間で徐々に解除され、特に大きな影響を受けたサービス業を中心に、経済活動が活発になるとみている。このため、2022年のGDP成長率の見通しについては3.9%と、前回予測から1.2ポイント引き上げた。
就業者数は昨年の4,478万2,000人が今年には4,480万8,000人となり、来年には4,534万7,000人を見込む。失業率も昨年の5.9%から今年は5.7%、来年は5.2%にまで低下するとみている。インフレ率は今年に2.4%と急上昇し、来年には1.7%に下がると予測する。
公的部門の財政収支は、今年は新型コロナの検査やワクチン接種の費用がかさむため、財政赤字が対GDP比で4.5%に達するが、来年には赤字幅が1.6%まで縮小すると見込んでいる。
なお、現在の予測では、新型コロナウイルスの危機前の予想水準に比べてGDP成長率が20~24年に平均で1.1ポイント程度低くなる可能性が高いとしている。また、今後は高齢者が急増し総労働人口が減少するため、2030年までに潜在成長率は約1ポイント押し下げられるとの見方を示した。
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