欧州連合(EU)は25~26日、オンライン首脳会議(サミット)を開き、新型コロナウイルスワクチンの供給確保と早急な展開に向けた方法を探る。欧州委員会が提案したワクチン輸出管理の強化案が承認されれば、英国や米国への輸出が規制される可能性があるが、英国と欧州委は24日夜にこの問題で協力するとの共同声明を出しており、いったん緊張は和らいでいる。25日夜にはバイデン米大統領もテレビ電話でサミットに参加し、EUと米国の関係について協議する。
英国と欧州委は24日夜、新型コロナウイルス対策で協力するとの共同声明を発表。「互いに依存関係にあることを考慮し、双方の市民のためにワクチン供給を拡大し、双方に恩恵を与えるような短・中・長期の具体的措置を策定する」としている。
サミットには、ミシェルEU大統領の招きによりバイデン大統領も参加し、今後の米・EU関係について考えを述べる見通し。
欧州委は24日、ワクチンの域外向け輸出の事前承認制度をさらに厳格化する案を公表。これが承認されれば、欧州委やEU加盟各国は今後の承認審査で、相手国がワクチンやワクチン原材料の輸出を制限しているかどうかと、相手国の感染状況やワクチン接種率、ワクチンの調達状況がEUより良好かどうかの2点も考慮することになる。
背景には、加盟各国が感染第3波に襲われる中、英国の製薬大手アストラゼネカや米国のファイザーとドイツのバイオ医薬品会社ビオンテックからの供給遅延により、ワクチンの展開計画が遅れていることに対するいら立ちがある。ミシェル氏は先に、英国と米国はEU以上に厳格に「ワクチンやその原材料の輸出を禁止している」とコメント。英国はこうした事実はないとして抗議していた。
サミットではこのほか、東地中海の資源開発を巡る対トルコ関係の緊張や、対ロシア関係、欧州委が先に公表したEUの30年までのデジタル化目標を示す「デジタル・コンパス」計画についても協議する。
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