英政府は24日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系投資会社ムバダラ・インベストメントと、長期的な投資パートナーシップを結んだと発表した。第1弾として、英国のライフサイエンス分野に向こう5年で10億ポンドを共同で投資する。今後、エネルギー転換やインフラなど他の分野にも投資対象を拡大する方針だ。
このパートナーシップの名称は、「主権投資パートナーシップ(SIP)」。英政府が昨年11月、外国資本の誘致に向け国際貿易省の傘下に新設した投資局とムバダラの間で調印された。投資局がこうしたパートナーシップを結ぶのは、これが初めてとなる。
SIPではまず、英国のライフサイエンス分野の企業やプロジェクトを対象に、ムバダラが8億ポンド、英政府が2億ポンドを投資する。英政府は、昨年に発表したライフサイエンス投資プログラム向けの2億ポンドの基金をこれに振り向ける。外国投資局とムバダラは今後、同分野で商業的に採算の取れる投資対象を特定、年内に投資を完了する予定。
ライフサイエンス分野には、医薬品や動物医療、医療技術、バイオテクノロジーなどが含まれる。フィナンシャル・タイムズによると、ムバダラのムバラク最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を受け、ライフサイエンスが「非常に魅力のある」投資対象であることが再確認されたとコメント。「この分野への投資を大幅に増やしたい」と話している。
SIPは今後5年間に、他のテクノロジー分野にも投資対象を広げる。投資額などは明らかにされていないが、英政府関係者によると、他の分野への投資も同等またはそれ以上の規模となる見通しで、向こう5年の投資総額は最大で50億ポンドに達する可能性もある。
投資局を統括するグリムストーン投資相は、「戦略的な国際投資家を誘致し、英国で効果的な投資が行えるよう促すことは、雇用を創出し、英国がライフサイエンス、クリーンな成長、テクノロジー、イノベーションの世界的リーダーとして成長する上で重要」と話している。
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