英国政府は4日、欧州連合(EU)による欧州航空・防衛最大手エアバスへの補助金支給に対する報復措置として米国政府が導入していた英製品への関税について、4カ月停止することで合意したと発表した。その間に両国は長期的な和解策を模索する。
関税は8日から発効し、4日分までさかのぼって適用される。対象となるのは、スコッチウイスキーやチーズ、カシミア、機械など。中でもスコッチウイスキーは2019年の関税導入以来、5億ポンドの損失を計上する大打撃を受けている。
米国は19年10月、エアバスへの補助金を巡りEU製品への報復関税を発動。当時、EU離脱前でエアバスの工場がある英国も対象に含まれていた。対象製品の貿易高は総額75億ドル相当で、現在は航空機に15%、チーズやオリーブオイル、ワインなどに25%の関税を課している。一方、EUは20年11月、米国製品への報復関税を導入。米国から輸入する航空機に15%、ワインや蒸留酒、オレンジジュースなどの食品・農産品やスーツケース、トラクターなどの工業製品に25%の関税を課し、対象製品の貿易高は総額40億ドルとされている。
英国は20年12月、EU離脱後の移行期間終了に伴い、21年1月1日から米国製品への報復関税措置を停止している。米国との関係を改善し貿易交渉の進展につなげる狙い。
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