英政府統計局(ONS)は12日、2020年の国内総生産(GDP、速報値)が前年比で9.9%縮小したと発表した。世界金融危機時の下落幅を2倍上回り、比較可能な1949年以降で最大の落ち込み。英中銀イングランド銀の記録によると、欧州を大寒波が襲った1709年以降で最大のマイナス幅という。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)の打撃の大きさが露呈している。
産業別に見ると、英経済の原動力であるサービス業は8.9%縮小。前年のプラス1.8%からマイナスに沈んだ。うち流通・ホテル・レストランは14.9%減少。自動車販売を含む運輸・倉庫・通信は11.1%、ビジネスサービス・金融は5.2%それぞれ縮小している。
鉱工業は8.6%減少し、前期のマイナス1.2%から落ち込み幅が拡大。うち製造業は9.9%縮小し、採鉱・採石は9.5%減少している。電気・ガス・蒸気・空調供給は4.5%、水道・下水・廃棄物処理は1.7%それぞれ落ち込んだ。
建設業は12.5%減り、農林水産業は9.4%のマイナスに沈んだ。
GDPは第4四半期(10~12月)に前期比で1%拡大。伸びは前期から15.1ポイント減速している。前年同期比ではマイナス7.8%と、前期の8.7%減から落ち込みが緩和した。
スナク財務相は「今回の数字はパンデミックの結果として経済が深刻な打撃を受けたことを表している」と指摘。「現在のロックダウン(都市封鎖)が多くの国民とビジネスに多大な影響を与えているが、冬の間に英経済の回復力を示す前向きな兆候も見られた」としている。その上で、「雇用とビジネス、生活を守るために必要なことは全て実行する」と付け加えた。
国際通貨基金(IMF)は1月、英国の今年のGDP成長率見通しは4.5%と、前回予想から1.4ポイント下方修正。来年については5%増と、1.8ポイント引き上げている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。