ドイツの連立与党に参加する中道左派の社会民主党(SPD)は7日、9月の連邦議会(下院)選挙に向け、2050年までの炭素中立実現を公約の柱として打ち出した。支持率回復に向けいち早く選挙戦のスタートを切るとともに、90年連合・緑の党の協力を取り付ける狙いがあるとみられている。
SPDが首相候補に擁立しているショルツ財務相はこの日、党執行委員会で施政方針案を公表した。気候変動と新モビリティー、デジタル主権、医療を4本の柱とするもので、中でも炭素中立の実現を最大の公約として掲げた。ドイツ政府は16年、50年までに二酸化炭素(CO2)排出量を1990年比で最大95%削減する目標を正式に示したが、SPDはさらに踏み込んだ形。
ショルツ氏は「50年の炭素中立を求めるなら、わが国で考え得る最大の技術革命と革新の時期が必要となるが、それは可能だ」と訴えた。
下院選挙は9月26日に行われる予定。メルケル首相は任期満了に伴い、今期での引退を表明している。同首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)は、メルケル氏の後継候補を今なお選出していない一方で、SPDは昨年8月、いち早くショルツ氏を首相候補に擁立していた。
SPDは、CDU・CSUとの連立を繰り返す中で独自色を失い、支持率が低迷。今回の選挙戦ではスタートダッシュが必要との焦りがある。世論調査ではCDU・CSUの支持率が最大37%であるのに対し、SPDは15%前後と、90年連合・緑の党の20%を下回っている。[環境ニュース]
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