欧州委員会のボレル外交安全保障上級代表は5日、モスクワでロシアのラブロフ外相と会談し、先に実刑判決を受けたロシア反体制派のナワリヌイ氏を釈放するよう訴えた。EU・ロシア関係はこの問題を巡り一段と悪化したとの見方を示している。
ボレル氏は、「ラブロフ外相に深い懸念を表明するとともに、ナワリヌイ氏の釈放と毒殺未遂事件の捜査開始を求めた」としている。EUでは、ロシアに対する新たな制裁はまだ正式に提案されていないものの、3月に対ロシア関係について協議する予定という。
これに対しラブロフ氏は、EUによる一方的な制裁の利用は、米国のやり方に似てきていると指摘。EUはパートナーとして信頼できないと主張している。
ナワリヌイ氏は先に、懲役3年6月の実刑を科された。過去に受けた有罪判決の執行猶予中、自身の所在を警察当局に定期的に報告するという保釈条件に違反したとの理由による。これに対し同氏は、昨夏にロシア国内で毒殺未遂に遭い、数カ月にわたりドイツで治療を受けていたためと訴えたが、判事は、事件前にも面会を欠席していたとしてこの主張を退けた。ナワリヌイ氏は控訴する方針で、その間はモスクワで拘留される見通し。
ロシア国内各地では、2週連続で同氏の釈放を求める大規模なデモが行われ、数千人が逮捕されている。また、露政府はデモに参加したドイツ、ポーランド、スウェーデンの外交官に対し、国外退去を命じている。
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