ドイツのメルケル首相が所属する中道右派の与党・キリスト教民主同盟(CDU)は、16日に党首選を行い、西部ノルトライン・ウェストファーレン州のラシェット首相(59)を選出した。ラシェット氏はメルケル氏に近い中道派。メルケル氏は9月の総選挙に出馬せず引退する方針を表明しているため、ラシェット氏が次期首相争いで優位に立った。
党首選には他にも、中道のメルケル路線からの脱却を掲げていたメルツ元院内総務(65)と、党の近代化を掲げるレットゲン元環境相(55)が出馬。
各地方の党員1,001人による1度目の投票では、メルツ氏がラシェット氏をわずかにリード。その後の決戦投票で、メルツ氏が466票を得票したのに対し、ラシェット氏は521票を獲得し勝利した。
ラシェット氏は勝利演説で「CDUが次の地方選挙で支持を獲得し、政権を維持するためには何でもする」と述べた。
ラシェット氏は、メルケル首相の中道路線を強く支持。シュパーン保健相やカーリチェク教育・研究相ら党の重鎮も、ラシェット氏の支持を表明していた。
一方、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)への対応で批判を浴び、支持が揺らいでいたほか、メルケル氏に近いことから、党の方針を示す上で独自色に欠けるとの批判もあった。
ラシェット氏は次期首相候補として最有力の立場となったものの、新型コロナ対策で存在感を示し、副党首の一人となったシュパーン氏や、CDUの姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)党首で南部バイエルン州首相のゼーダー氏らも注目を集めており、紆余(うよ)曲折が予想される。
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