経済協力開発機構(OECD)は1日発表した世界経済見通しの中で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)が前年比7.5%縮小するとの見通しを示した。6月の前回予測では新型コロナウイルスの感染第2波が訪れた場合は11.5%減を見込んでいたが、大きく上方修正している。来年については、新型コロナウイルスワクチンの供給開始などで3.6%拡大するとみている。
OECDはユーロ圏について、2022年のGDPは3.3%となり、同年末にようやく新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)前の水準に戻ると予想。ワクチンが広く行き渡るまでは感染封じ込め策が経済活動を妨げ、個人消費と投資が影響を受けるとしている。失業率は来年半ばまでは上昇が続き、その後は徐々に低下すると予測する。インフレ率については、22年末まで欧州中央銀行(ECB)の目標を大きく下回る見通しで、官民の借り入れコストを抑えるために金融緩和策を継続すべきと指摘している。
国別に見ると、ドイツの今年のGDPは5.5%減となり、来年には2.8%増に回復すると予想。フランスは20年に9.1%減と大きく縮小するものの、21年は6%増を見込む。イタリアは今年が9.1%減、来年は4.3%増とみる。スペインについては20年に11.6%落ち込み、21年は5%の増加と予想している。
英国の今年のGDPは11.2%減と大幅に落ち込み、来年は4.2%増となる見込み。だが、先行き不透明感が続くため企業の投資が引き続き低迷するほか、欧州連合(EU)離脱後の移行期間が終了する来年からは国境管理コストの増大が貿易に影響を与えるとみている。
OECDは、世界経済の今年の成長率はマイナス4.2%となり、第二次大戦以降で最悪となるが、来年にはプラス4.2%に回復すると予測している。ただ経済回復は国ごとに開きが大きくなり、来年は中国の成長が世界経済をけん引し、世界成長全体の3分の1以上を占めるとしている。
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