欧州議会(定数720)は22日、欧州連合(EU)が2026年1月に導入を予定する「国境炭素調整メカニズム(CBAM)」の改正案を564対20の賛成多数で可決した。対象品目の輸入量が年50トン未満の企業を適用対象外とすることにより、輸入企業の9割で負担が軽減される。
当初は、対象品目である鉄鋼やセメント、電力、肥料、水素、アルミニウム製品の輸入高が150ユーロを上回るすべての企業を対象としていた。欧州議会は、改正案で適用を免除される企業は主に中小企業や個人事業主で、こうした輸入業者の事務負担を軽減することが狙いとしている。
これらの企業を適用対象から除外しても、EUに輸入される対象品目からの二酸化炭素(CO2)排出量の99%がCBAMの対象となるため、所期の目的は達成できるという。
国境炭素税とも呼ばれるCBAMは、排出規制が緩い域外諸国からの輸入品に対し、炭素排出量に応じた事実上の関税を課す仕組み。適用対象となる輸入企業にはCBAM証書の購入が義務付けられる。今回の改定案ではこれも1年延期して27年からとしたほか、承認手続きや排出量の算出方法、CBAM負債管理も簡素化している。
CBAMを巡っては、業界団体やインドなど域外諸国から反対意見が多く、欧州議会の最大会派である中道右派の「欧州人民党(EPP)」は施行延期を求めていた。これを受け、欧州委員会は2月に改正案を提示していた。[環境ニュース][EU規制]
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