欧州連合(EU)の統計局ユーロスタットは10月30日、2020年第3四半期(7~9月)のユーロ圏19カ国の実質域内総生産(GDP、1次速報値)が前期比12.7%増加したと発表した。リセッション(景気後退)入りした第2四半期の11.8%減からプラスに回復。主要国のうちフランス、スペイン、イタリアは2桁増に転じ、ドイツもプラス成長に復帰している。
ユーロ圏のGDPは、前年同期比では4.3%縮小。EU27カ国全体では前期比で12.1%増えたが、年率では3.9%落ち込んだ。
この日までに速報値を発表した主要国のうち、フランスの成長率は18.2%と、第2四半期のマイナス13.7%から大きく改善。投資を示す総固定資本形成は23.3%増、家計最終消費支出は17.3%増と共にプラスに回復した。政府最終消費支出は15.4%増加。輸出は23.2%、輸入は16%それぞれ伸びた。
スペインのGDPは前期比16.7%増と、第2四半期の17.8%減から増加に転じた。家計最終消費支出は20.7%増え、総固定資本形成は19.9%拡大した。輸出は34.3%、輸入は28.4%それぞれ伸びている。GDPは年率では8.7%縮小した。
イタリアのGDPは16.1%増と、前期の13%減からプラスに復帰。年率では4.7%減少している。
ドイツのGDPは前期比で8.2%拡大。前年同期比では4.2%減った。
欧州委員会は7月に発表した夏季経済見通しの中で、今年のユーロ圏のGDPが前年比8.7%縮小し、史上最悪の落ち込みを記録するとの見通しを示した。前回5月時点の春季予測では7.7%減としていたが、米国での新型コロナウイルス感染拡大が欧州経済に影響するとの懸念から下方修正された。中でもフランスとイタリア、スペインが2桁台の落ち込みを示すとみている。
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