ドイツのメルケル首相は28日、新型コロナウイルスの感染が再び急拡大していることを受け、全国的に新たな制限措置を導入することで連邦16州の首相と合意した。11月2日から30日まで、飲食店や劇場などの営業を禁止する。ただ、小売店や理髪店の営業は認められ、学校の授業も続けられる。
営業停止を命じられるのは、レストランやバーのほか、劇場や映画館、コンサートホール、カジノなどの娯楽施設、ジムやプールといったスポーツ施設、サウナやマッサージ、美容サロンなど。飲食店は、出前や持ち帰り用の食事は提供できる。学校・幼稚園は閉鎖されず、小売店や理容・美容店の営業も認められる。ホテルは、ビジネス出張客に限り宿泊を受け入れることが可能。
世帯間の交流は、最大2世帯10人までに制限される。企業は、従業員の在宅勤務を可能な限り認めるよう要請されている。展示会の開催やアマチュアスポーツの試合は禁止され、プロのスポーツ試合は観客なしで行われる。
メルケル首相は、1日当たりの新規感染者数が前週から倍増し、集中治療室(ICU)の入院患者数も10日間で2倍に増加していると警告。「追跡調査は限界に達し、全国平均で感染者の75%は感染源が特定できなくなっている」とし、感染拡大の阻止に向け「11月は国民が一丸となって取り組む必要がある」と強調した。
今回の措置で営業停止を命じられた企業や個人事業主には、臨時の援助を行う方針。
同首相と連邦16州の首相は、2週間後に再び会合を開き、今後の方針について協議する。ドイツでは、感染対策の制限措置はおおむね各州の管轄とされており、これまでメルケル首相が全国的な規制強化を提案しても合意が得られなかった経緯がある。今回、各州がこれを受け入れたことから、全国各州の当局が事態を深刻に受け止めていることがうかがえる。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。