英国のスナク財務相は22日、新型コロナウイルスの感染状況が深刻なために規制が厳格化された地域での新たな雇用維持制度を発表した。10月末で打ち切られる「コロナウイルス雇用維持制度」に代わる新たな「雇用サポート制度」をさらに拡大し、ロンドンなどを含む「高い(ティア2)」地域の支援内容を拡充している。
雇用サポート制度では、警戒レベルが「非常に高い(ティア3)」に指定された地域で、営業を禁止された国内企業を対象に、一時帰休中の従業員の給与を67%を上限に政府が補助する。
今回の修正案では、それ以外の規制を受ける企業を対象に支援内容を見直した。これらの企業で働く従業員は、通常の勤務時間の2割以上働いていることを条件に、働いていない時間の給与の3分の2に当たる約67%が肩代わりされるが、政府の負担率を62%に引き上げ、雇用主の負担は5%のみとした。政府の負担額は月額最大1,541ポンドとなる。従来案では、政府と雇用主がそれぞれ3分の1ずつを負担するとしていた。
従来案では、通常の勤務時間の3割以上働いていることが条件とされていたが、今回の変更により、実質的に週に1度働けば制度の対象となる。
また、規制の導入により大きな影響を受けるホスピタリティー産業には月額で最大2,100ポンドを支給する。これは封じ込め策の実施から遡及的に申請が可能。
個人事業主に対しては、所得の上限を月額1,875ポンドから3,750ポンドとし、平均収入の40%を政府が補助する。期間は来年1月末までだが、状況によっては4月まで何らかの補助を続ける考え。
政府支援を巡っては、ティア2地域のホスピタリティー産業からかねて「ティア3に引き上げられた方が、状況はいくぶんましだ」との不満の声が噴出していた。
雇用サポート制度は、コロナウイルス雇用維持制度の廃止に伴って雇用主の負担を拡大するとともに、パートタイムで仕事に復帰した従業員の賃金を補助することが狙いだったが、国内の感染状況が急速に悪化したことを受けて急きょ、営業停止対象の企業への支援も盛り込んだ経緯がある。[労務]
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